審査診断
う蝕や歯周病を発症する前の潜伏期、またはごく初期の病気のうちに発見し、治療と予防をすれば。自分のはの生涯、健康に保てる可能性が高くなります。私たちは審査診断を行ったうえで、最小限の治療を行い、予防のための指針を立てていきます。
プラークをコントロール
う蝕と歯周病予防の中心は、原因であるプラークの増殖を抑制し、悪影響を及ぼさない程度にいつもコントロールしておくことです。
そのために、患者さん自身によるパーソナル・プラークコントロール(ホームケア)とともに、わたしたちでなければできない知識や技術、器具を用いた専門家によるプロフェッショナル・バイオフィルムコントロールが必要となります。
自分の健康は自分で守る
う蝕や歯周病は、身体の抵抗力とバランスに関連しているため、毎日のブラッシングをおこたると、細菌の活動が活発になり、発症してしまいます。歯科の予防も、成人病の予防と同じように毎日実践してはじめて効果があがります。
専門的なアドバイスやバックアップは全力で行いますので、”自分の健康は自分で守る”という意識は大切にしてください。
定期的なメインテナンスを
車や家がていきてきなメインテナンスによって美しく長持ちするように、口腔内の健康についても同じことがいえます。
プラークコントロールが適切に行えているか、再発や別の部位に病気が起こっていないかなどを、定期的に審査診断を受ける必要が大切です。
わたしたちスタッフはそれぞれの役割を通して、皆様のホームドクターでありたいと願っています。
ご自分の歯で食べられることは、なんと素晴らしいことでしょう。この幸せは、高齢になればなるほど実感することです。
口腔内のお手入れやよい食習慣をすることで自分の歯は維持されていきます。
あなたにとっても不可能ではありません。少しでも早くてをつけていけるよう、わたしたちスタッフは力をお貸しいたします。
充実した健やかな生活を一緒に創っていきましょう。
歯周病・虫歯・口臭の原因となる、思考(プラーク)や歯石などの付着を取り除きます。
効果を持続させるために、歯の表面を滑らかな歯に仕上げます。
また、コーヒーやタバコのヤニなどの着色を、ブラシとクリームを用いて綺麗に落とします。
メインテナンスの目的
メインテナンスは、持続的なバイオフィルムの破壊と除去を行って治療によって得られた口腔内の健康な状態を維持させ、再発を防止することを目的としています。具体的には、歯周ポケット内の歯周病原菌であるグラム陰性菌群は、処置した後12〜16週で、元の細菌叢に戻る傾向があります。
そこで、細菌の量が悪影響を起こし出す前に、プロフェッショナルバイオフィルムコントロールを行って、歯周病の再発を予防するために、その人の歯周環境に応じた、今後のメインテナンス・プログラムを決定していきます。
メインテナンス期間
メインテナンス間隔は、個人それぞれの口腔内の状況にそって間隔が指定されます。この間隔はだいたい3ヶ月とされていますが、再評価やプラークコントロールの程度によって、短くなったり、徐々にのばされたりします。メインテナンスを定期的に行わなければと、確実に歯周病は進行したり、再発していきます。メインテナンスは一時的だけ行うものではなく、大切なことは、ずっと無理なく続けていくことです。
ご自分で無理なく続けていけるプログラムを一緒に設定してみましょう。
成人のう蝕について
う蝕は、プラーク中の細菌(ミュータンス菌、ラクトバチラス菌など)の感染により起こります。
細菌は、イン色した食べ物から栄養を取り、酸を作ります。この酸によってはが溶かされてしまった状態がう蝕(虫歯)です。
人間のからだには、この酸と闘おうとする抵抗力があり、人によって程度の差はありますが、唾液や歯の質などがその力です。
しかし、酸にさらされるる回数が多かったり、時間が長かったりすれば、酸との戦いに敗れ、う蝕になってしまいます。
つまし、細菌とからだの抵抗力の戦いともいえるのです。
歯頚部のう蝕が起きやすい
歯周病やブラッシンングの過剰な圧力のかけすぎなどにより、歯肉の退縮が起きると象牙質が露出してしまい、冷たいものやブラッシングでしみたりすること(知覚過敏症)が起こります。また、象牙質は、エナメル質よりも酸におかされやすいためにう蝕になりやすいです。
高リスク
①食事回数の多い人
②のど飴などのアメを常用している人
③唾液分泌量の極端に少ない人
・腺分泌抑制剤の投与を受けている人
・放射線治療の結果、唾液腺に障害を生じた人
・手術により唾液腺を摘出した人
・その他、唾液の分泌の低下を伴う疾病の人(たとえば、シェーグレン症候群など)
④歯周病治療後のプラークコントロールが不良の人
歯根露出部におけるう蝕(歯頚部う蝕)の発症において留意しなければならないことは、エナメル質う蝕とは異なり、弱い酸でも脱灰が生じる点です。エナメル質の脱灰はpH5.5以下で生じると言われていますが、根露出部の象牙質においては、pH6.2程度であると言われています。
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詳しくはスタッフまで
ミュータンス菌
う蝕を引き起こす病原性が最も強い細菌は、縁上(歯肉より上の部分)プラーク中に多く存在するミュータンス菌Mutans streptococcuciです。
この菌は、紙面に対して強い付着能を持っているため、やがてコロニーをつくり、低いpH環境の中でも存在し、酸を産生します。
脱灰の初期に重要な役割を果たすと考えられています。
ラクトバチラス菌
もう一つの強いラクトバチラス菌は、付着能を持っていませんが、定着できる”すみか”があると増殖を起こし、しばしばう蝕の深部に見られることから、脱灰の後期に重要な役割を果たすと考えられています。口腔環境が不良であればあるほど増殖することから、その量を知ることで口腔環境や食習慣を客観的に評価できるといえます。
唾液の働き
人間の持っているう蝕に対する抵抗力のうちで最も大きな力は唾液です。唾液の作用には次のことがあります。
①洗浄作用
唾液は歯面や口腔内を洗浄します。
②殺菌・抗菌作用
唾液中の免疫抗体、リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなどに抗菌作用があり、プラーク形成・発育を抑制します。
③緩衝作用
口腔内の酸、アルカリを中和します。
④抗脱灰作用
pHを高めて、歯の溶解を低下させ、また、エナメル質、象牙質の再石灰化を促進させます。
唾液はこのような優れた働きをしていますので、分泌量が多いほど、う蝕の予防効果は高くなります。
歯質について
その人の歯質も、抵抗力のひとつです。
一般的に、エナメル質の脱灰が起こる臨界pHは5.5〜5.7ですが、象牙質、セメント質、幼若永久歯、乳歯の場合、pH5.7〜6.2程度とされています。歯質によって臨界pHが若干異なる場合があるのです。
食事とpHの関係
食事を取るたびに、口腔内は数分で酸性になり(pHが低くなる)、歯の表面の成分(カルシウム・リン)が溶かされはじめます(脱灰)。
40分ぐらい時間がたつと、pHは高くなり、溶かされた歯の成分は元に戻されます(再石灰化)。
フッ素の効果
フッ素はう蝕予防に、次の4つの働きをします。
①再石灰化の促進作用
②再石灰化の際にフルオロアパタイトを生成し、より耐酸性の高い歯質とする
③酸の産生を抑制する
④抗菌作用がある
歯と唾液プラークの間では、常にカルシウムとリンの交換、つまり、脱灰と再石灰化が行われています。この時、酸性状態(pHが低い)が続くと脱灰が進行し、やがて初期う蝕になってしまいます。しかし、フッ素は再石灰化を促進し、エナメル質の表面にフルオロアパタイトを生成してより耐酸性の高いエナメル質を形成します。また、プラーク中の細菌の酵素を阻害する働きがあるため、酸の産生も抑制します。
参考書籍:歯周病とう蝕の健康管理ファイル 著者 熊谷 崇 医歯薬出版株式会社