小児歯科
Pediatric Dentistry
小児歯科
子どものむし歯予防は
１歳７ヶ月からの
１年間が重要です。
むし歯の原因となる細菌（特にミュータンス菌）は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在しません。これらの細菌は、主に母親をはじめとする家族から乳幼児期にうつることが、さまざまな研究から明らかになっています。特に、奥歯が生え始める1歳半頃から2歳半頃までは「感染の窓」と呼ばれ、もっとも感染しやすい時期とされています。この時期を過ぎると、口内の細菌バランスが安定してくるため、新たな感染のリスクは低くなりますが、一度むし歯菌が定着すると、その後も長く付き合っていくことになります。
また、この時期に母親に対してプラークコントロールや口腔衛生指導を徹底したところ、子どもへのむし歯菌の感染が約半分に抑えられ、その後も低い水準で維持されたという報告もあります。さらに、妊婦を対象とした母親教室で「噛み与えを避ける」指導を徹底したところ、2歳半までむし歯がまったくできなかったという例もあり、この時期に家族がむし歯原因菌へのリスクを把握し、しっかり対策を講じることの大切さがよく分かります。
一見手間がかかるようにも思えますが、見方を変えれば「この時期さえ気をつければ感染しにくい」ということでもあります。たった1年、少しだけ気合いを入れてケアを意識することで、かわいい赤ちゃんをむし歯から守ることができるのです。
あかちゃんにむし歯菌を感染さないために
- 家族自身がむし歯原因菌のリスクを理解し、日頃から口腔衛生に気を配る
- 噛み与えや箸の共用など、家族の唾液が赤ちゃんに触れる行為はできるだけ避ける
- 歯が生え始めたら、ブラッシングの習慣づけを。歯ブラシの使用が難しければ、ガーゼなどでやさしく拭き取る
- できればこの時期までに断乳を行い、哺乳瓶の使用も控える
- 砂糖を多く含む飲み物やおやつはできるだけ控え、間食は時間を決めて与えるようにする
１歳６ヶ月時で虫歯のある子どもは、
３歳健診までに虫歯が急増する
傾向にあります。
むし歯を発症・増加させた原因として挙げられた項目は、
「甘いお菓子をほぼ毎日食べる習慣がある」
「甘い飲み物をほぼ毎日飲む習慣がある」
「断乳していない（または寝る前に授乳している）」
「ほ乳瓶を使用している」
「食事中にテレビを見る」
といった生活習慣が含まれます。
特に赤字で示した項目は、複数の調査において共通して原因として挙げられたものです。
また、「保護者による仕上げ磨きをしていない」という点については、すでに1歳6か月の時点でむし歯があった子どもにおいて、その後のむし歯の増加と強く関係していたことが報告されています。このことからも、仕上げ磨きの有無がむし歯予防において重要な要素であることがわかります。
